僕自身も先日無事に4年生への進級が決まりました!この1年、けっこう頑張りました(振り返りはまた別の記事で)。
医学部によって進級の大変さは様々。
今回はちょうどホットな時期(?)ということで、進級難易度と国試合格率の関係に着目してみました。
利用したデータは文部科学省の「各大学の医学部医学科の入学状況及び国家試験結果等」。最新の113回医師国家試験の結果の反映はしばらく先だと思われるので、112回医師国家試験の結果とその6年前となる平成24年度入学者についての分析です。
以前に同じデータを用いてストレート卒業率のランキング等を作成しましたが、それとは切り口を少し変えたものということになります。
この他にも医学部の進級(留年)についていくつか分析しています。詳しくは→タグ『留年』をご覧ください。
分析の概要
今回やったことはシンプルで、全国の医学部のストレート卒業率と国家試験合格率をプロットしただけです。
あらかじめ用語を定義しておくと、
・ストレート卒業率=最低修業年限での卒業者数/入学者数
・国家試験合格率=合格者数/受験者数(ともに新卒)
ストレート卒業率は進級難易度の指標になると考えられます。
また、国家試験合格率は出願者数ではなく受験者数を分母とすることで、各大学で6年間の進級判定をすべてクリアした人の合格率、つまり、進級難易度が反映された合格率を表すと考えることができます。
医学部的な常識を抜きにしてごく普通に考えると、学生の質が同じだと仮定すれば、厳しい進級判定をクリアしてきているほど(=ストレート卒業率が低いほど)国試の合格率が上がりそうな気がしますが結果は。。。
国公立大学と私立大学で傾向が異なるので別々に紹介したいと思います。
結果①国公立大学
横軸に各医学部のストレート卒業率、縦軸に国試合格率をとってプロットするとこのようになります。

見事、“相関なし”の典型のような分布になりました。
強いて傾向を述べるとすれば、ストレート卒業率が極端に高かったり(>0.95)低かったり(<0.75)すると国試合格率が下がるということくらいでしょうか…
国公立大学に関しては進級難易度と国試合格率はほとんど関係ないと言ってよさそうです。
ほとんどの人が予備校のビデオ講座で国試対策をするこのご時世、この結果は当たり前と言えば当たり前なのかもしれません。
国試合格を何よりも優先するなら進級しやすい大学のほうがお得ですね。
結果②私立大学
国公立大学と同様に、横軸に各医学部のストレート卒業率、縦軸に国試合格率をとってプロットするとこのようになります。

少し恣意的ですが国試合格率0.85以上(赤色)と0.85未満(黄色)の2つのグループに分けると、異なる傾向が見られます。
国試合格率0.85未満のグループ(黄色)では、ストレート卒業率と国試合格率は明らかに相関なし。
国公立大学と同様に、「進級が厳しいだけ損」と言えるかもしれません。
他方、国試合格率0.85以上のグループ(赤色)では、ストレート卒業率が高くなるほど国試合格率が上がる傾向にあります。
この結果をそのまま受け取ると「進級を厳しくするのは国試において無駄」という結論になりかねませんが、この結果の解釈はそう単純ではないと思います。
ストレート卒業率ランキングの記事に詳細を示しましたが、ストレート卒業率は大学入試の偏差値が上がるほど高くなる傾向があります。つまり、(大学入試で測れる)学生の質の差がそのまま国試合格率の差として表れている可能性は否定できません。
ではなぜ、国公立大学ではなかった差が私立大学では生じているのか…
大学入試にすべてを帰着させるなら国公立大学で課されるセンター試験(特に国語や社会)で求められる思考力・学力・勉強方法がもしかしてすごく大事だったり…なんて考えることもできますが、憶測の域を出ないので考察はこの辺りに止めておきたいと思います。
まとめ
医学部におけるストレート卒業率と国試合格率の関係を国公立大学と私立大学に分けて紹介しました。
あくまで1学年の結果ですので最新のデータを使うとまた違った結果になるかもしれませんが、医学部選びなど何らかの参考になれば幸いです。
医学部の進級(留年)に関する他の記事はこちらからどうぞ。
→タグ『留年』
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