2020年(令和2年度)の医師臨床研修マッチングの結果が発表されました。
結果は厚生労働省の医師臨床研修制度のホームページに掲載されています。
今年のマッチングは新型コロナウイルス感染症の影響で病院見学が十分にできなかったりマッチング試験の形式が変わったりと、学生側も病院側もかなりやりにくさがあったのではないかと思います。
その辺りがマッチングの結果にも影響があったのかどうかを含め、過去の結果も踏まえながら動向を分析してみたいと思います。
募集定員と登録者数の推移
マッチング全体の募集定員と登録者数について。

募集定員はここ6年間、マッチング登録者数もここ4年間は横ばいになっています。
倍率(=登録者数/募集定員)で見ると80-90%で推移しているので、極端な話、場所さえ選ばなければ研修医として働くことができるということになります。
そういう訳にもいかないでしょうが…
第一希望先の割合の推移
マッチング登録者数が第一希望として市中病院と大学病院のどちらを選んだかについて。

※2017年は資料に記載がありませんでした。
大学病院を希望する学生が年々減っていることがわかります。
ここで市中病院での研修と大学病院での研修の違いを書き始めると話がそれすぎてしまうので割愛しますが、メリットとデメリットについてわかりやすくまとめてくださっているツイートがありましたので紹介します。
大学病院のメリット
— 朱雀 (@isikidaketakai) October 17, 2020
・最重症を管理できる。
・本を読む時間がある。
・rear(併存症)に紛れる重症commonは見れる。
・救急は集中治療管理まで含むことが多い
・指導医ガチャの当たりが多い(熱心)
デメリット
・数は少なく質重視になる。
・重症すぎて執刀はできない。
・研修取り合いになる
(・💰💴)
ここ数年の傾向は市中病院のメリット、大学病院のデメリットを重視する学生が増えてきているということになるかと思います。
マッチ率の推移
学生は順位をつけて複数の病院のマッチング希望を出すことができますが、最終的にマッチすることができた学生の割合について。

若干ではありますが、マッチ率は低下傾向となっています。
最初に書いたように全体の倍率はほとんど変わっていない(しかも1倍を切っている)ので、マッチ率が下がっている原因としては特定の病院に希望者が集まっているということが考えられます。
希望順位別マッチ率の推移
最後に、マッチした学生がどの希望順位でマッチしたのか(=各希望順位数/全マッチ者数)について。

年々上位の希望順位でのマッチが減っていることがわかります。
これもマッチ率のところで述べたのと同様、特定の病院に希望者が集まりやすくなっていることを示していると考えられます。
まとめ
医師臨床研修マッチングの動向を分析してみました。
今年の結果に関して新型コロナウイルス感染症の影響がどの程度あったのかは不明ですが、病院見学ができないなど制約が増えた中で、これまでの傾向がより顕著になったということは言えそうです。
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