
文部科学省から、各医学部の平成31年度・令和2年度の男女別合格率が公表されました。
全医学部の令和2年度入試における男女別合格率が文部科学省から発表されました。https://t.co/OGO9ZS8UFW pic.twitter.com/fAuGr0OIpY
— しーちきん🌠 (@seachicken_med) December 25, 2020
資料には平成31年度・令和2年度の合格率と平成25年度~30年度の6年間の平均合格率が男女別に掲載されていますが、数字の羅列になっているので変化が見やすくなるようグラフにして紹介したいと思います。
公表までの経緯
ますは今回文部科学省が公表するに至った経緯について。
文部科学省は医学部の不正入試問題が発覚した2018年に全81大学の男女別・年齢別合格率を調査・公表しましたが、その後は「問題は解決済み」とし、代わって全国医学部長病院長会議(AJMC)が調査を行うこととなりました。
アンケートあった。2019/3/31〆切なんだけどまだ結果公表してないのか…?https://t.co/ZlnurPGpEQ pic.twitter.com/OykxCUEYet
— しーちきん🌠 (@seachicken_med) February 18, 2020
しかし、AJMCから結果が公表されることはなく、国会で野党側から指摘を受けたことなどから男女別の合格率について文部科学省が公表する方針としたようです。
今回の公表内容に関しては当初”男女別合格率などについて”と報道があり、当然年齢別の合格率も出てくるものと個人的には思っていましたが、出てきたのは残念ながら男女別合格率のみでした。不正入試全体の持続的な防止というより、単に国会での指摘への火消し的な対応に感じます。
男女別合格率の変化
次に、本題の合格率の変化について。
男女別合格率を比較する上での指標として「合格率男女比」を用います。
合格率男女比=女子合格率/男子合格率
この値が大きいほど女子が男子に比べ合格しやすかったことを意味します。また、定員の異なる大学間や受験者数の異なる年度間でも比較することが可能です。
実は、平成31年度(不正入試発覚直後)の入試に関しては、この合格率男女比の指標を使って一度分析して記事にしました。
しかし、この記事では不正入試発覚後のデータが1年分しかなく、発覚前のデータに関しても年度によるばらつきをあまり考慮できていなかったので、今回はその辺りをもう少し評価しやすくなっているはずです。
…ということで、前置きが長くなりましたが結果です。
2020年度(令和2年度)を青色、2019年度(平成31年度)を橙色、2013-2018年度の平均値を灰色、2013-2018年度の最大値と最小値をエラーバーの形で示しました。合格率男女比が大きい、つまりグラフが右に行くほど女子が男子に比べ合格しやすかったことになります。

女性差別が行われていたことを認めた順天堂大、聖マリアンナ大では、不正発覚後の合格率男女比が不正発覚前を大きく上回っていることがわかります。
一方で、女性差別が特に指摘されていない昭和医大、日本大学、埼玉医科大でも同様の変化が見受けられます。
国公立大では2020年度の滋賀医科大を除けば目立った変化はないようです。
まとめ
平成31年度・令和2年度の合格率男女比を不正入試発覚以前の値と比較する形で紹介しました。
今回の文部科学省からのこのようなデータの公表は不正入試を防止するためにとても重要なことですが、過去の不正の中では女性差別だけでなく年齢差別も行われており、年齢別のデータも同様に公表すべきではないかと感じます。
以上、参考になりましたら幸いです。
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