育児しながらの医学部生活6年間を振り返って

2022/02/27
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今回は育児しながらの6年間の医学部学生生活について。

僕は一度大学を出て社会人数年を経てから、いわゆる‟再受験”で医学部に入りました。

入学前のセンター試験翌週に長男が、3年生の1月に次男と三男(双子)が生まれ、最初の大学での学生生活とは比べものにならないくらいにぎやかというか慌ただしいというか、とにかく濃い日々を過ごしてきました。


育児しながらの学生生活について以前に一度書いたことがあります。


これを書いたのは医学部生活の折り返しとなる4年生の始めの頃。

この時は「何を考えていたか」「その結果どうだったか」といった部分まで書かなかったので、学生生活の残り半分を無事に終えることができた今、改めて振り返ってみたいと思います。

目次
① 勉強を言い訳に家事育児をおろそかにしない
② 家事育児を言い訳に勉強をおろそかにしない
③「パパが学生でよかった」
④「自分が学生でよかった」
⑤ まとめ

※勉強の時間確保や効率化のために気をつけたことについては次回書こうと思っています。

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① 勉強を言い訳に家事育児をおろそかにしない


家庭がある身で学生をやる以上、家族に対して「勉強があるからゴメン」と言うのはとてつもなくかっこ悪いことだと思っていました。

妻との家事育児の分担しかり、家族で遊ぶ時間やお出かけしかり。

家事育児の分担に関しては、妻はフルタイム勤務、僕は大学(+ときどきアルバイト)ということで、どちらかしか家にいないときは優先順位をつけて1人でやるとして、2人とも家にいるときはだいたい半々になるようにやっていました。つまり、1人が子ども達をみているときはもう1人が家事をやる、子ども達が寝たり遊んだりしている間は2人で家事をやるという感じ(もちろん、家族全員で一緒に過ごすのも大事な時間です)。

また、妻が育休中は、僕が大学に行っている間に一人で家事育児をやってくれていました。そのため、自分が帰宅後にその分頑張るのはもちろんですが、大学が休みの日には妻に子ども達を置いて友達と遊びに出かけてもらったり、逆に僕が子ども達を連れて出かけたりなど、できる限りリフレッシュしてもらうようにしていました。

双子育児の最初の山である夜間の授乳やオムツ替えをうまく乗り切れたのはいい思い出です。



こうして振り返ると、低学年の頃の単位認定や自主的な勉強を重んじる大学の方針(?)のおかげで比較的休みが多かったことにとても助けられていたような気がします。

再受験の志望校選びの際はほぼ重視していませんでしたが、そういう視点での大学選びも大事だなと今となっては思ったり…。


分担について妻とは話し合った訳でもルールを決めた訳でもないですが、妻も僕も一人暮らしの期間がそこそこあったせいか、家事も育児もその延長線上で「自分でやって当たり前」「分担・協力してもらえるだけラッキー」という感覚があり、暗黙の了解的にこのような形に落ち着いたように思います。

こうして分担・協力して終わらせた後はお互い相手に気兼ねすることなく自分の時間を自由に過ごせるのでよかったです。

ただ、妻の仕事が忙しいときはワンオペ白旗で義理の実家にお世話になりましたし、国試前など家族が気を遣って僕を置いて出かけてくれることもあったので、声を大にして自分で100%できたとは口が裂けても言えません…(汗)


② 家事育児を言い訳に勉強をおろそかにしない


①の裏返しになりますが、医学の勉強と研究はどんな事情があったとしてもしっかりやりたいと入学前から思っていました。医師を志したのは医学の研究寄りの部分がきっかけで、そのとき長男はまだ生まれていなかったので、こちらのほうが①よりも考えの根っこに近いかもしれません。

大学の講義や実習以外の時間は平日も休日も家族との時間最優先で過ごしてきたので、自分の時間は子ども達が寝て家事が一段落してからです。それでも、この6年間は

「試験があるから勉強させて」と家族に言うことなく、

翌日精神的な余裕(←育児する際に最も大事だと思っています)がなくなるのが嫌で徹夜をすることもなく、

なんとか乗り切ることができました。そういう状況にならないように計画的効率的な勉強を心がけていたので、それを継続できたことに関しては自分で自分を褒めたいと思っています。


勉強に関しては、基礎医学・臨床医学の座学やCBTくらいまで(双子が生まれるまで)はベストパフォーマンスが出せていたように思います。


試験や進級が厳しい大学ではないですが、再試験ゼロ、GPA>3でした。

でも、双子が生まれ、さらにはコロナ禍での自宅保育なども重なってからはどうしても時間の絶対量が不足してしまい、卒業試験や国家試験の成績は真ん中くらいになりました。



家事育児を言い訳にしているじゃないか!と怒られそうですが、自分としては全力でやっていても周囲が勉強を本気で頑張る中では相対的には厳しかったということにさせてください(汗)


研究に関しては、1年生から6年生まで研究室に出入りして、学会賞や学長賞をいただいたり、研究留学に行ったり、筆頭論文を出したりとそれなりに充実した活動ができました。


マウスや試薬などを使わないいわゆるdryの研究で、時間と場所を選ばずできたのが大きかったです。

ただ、こちらも高学年での時間確保が課題で、2本目の論文が卒業に間に合わず現在絶賛加筆修正中(汗)

早く形にしたいと思ってますが、初期研修中にやる余裕あるんだろうか…。

医学部に入った時にはきっと役に立たないだろうと思っていた前大学や前職での経験も案外いろんなところで活かせることがわかったので、今後も何らかの形で関わっていけたらと思っています。


③ 「パパが学生でよかった」


社会人を辞めて学生をやることは家族に経済的なところで負担をかけてしまいますが、その分時間に余裕ができるので、トータルで見た時に家族に「パパが学生でよかった」と思ってもらえるようにしたいと考えていました。

学生には時間があるという話、長期休暇がある点などは確かにそうなのですが、社会人であれば取得できる有給休暇や看護休暇といった仕組みが学生にはなく、子供が熱を出した時の調整など社会人以上に苦労するときもありました(汗)

基本的な過ごし方や姿勢はこれまで書いてきた通りですが、特に、コロナ禍になってからは緊急事態宣言に加えて子ども達の体調不良でかなりの期間を自宅保育で過ごすようになり、毎日子ども達の心身の成長のために何をしてあげられるか悩む日々でした。

体力があり余っている子ども達と一日中家で過ごすのは不可能で、午前か午後のどちらかは必ず公園に行くようにしていました。また、家では知育、お絵描き、粘土、折り紙、ブロック、工作などなど飽きないようにいろいろ遊びを考えていました。

保育園や幼稚園の偉大さを改めて感じました…。

そして、そんな日々もいつの間にか過ぎ、卒業が近づいて“パパが働く話”をするようになると、こんな反応をされるように↓

若干誘導尋問になってますが、「パパが学生の方がいい」と思ってもらえているのは本当に幸せなことです。


④ 「自分が学生でよかった」


育児しながら学生生活を過ごしてみると「自分が学生でよかった」と感じる場面が多々ありました。

長男は0歳から6歳、双子達は0歳から3歳、育児において特に手がかかる時期だったというのもありますが、この成長著しい時期の多くの時間を一緒に過ごすことができたのは自分にとって何よりも貴重な経験になりました。


僕は長男が生まれる前から「父親なんだから母乳育児以外はできて当然(と言えるようになりたい)」と思っていました。

0歳の頃のミルク、オムツ替え、ぐずったときの対応、抱っこで寝てからベッドに移動する方法、離乳食、夜泣き、1歳過ぎてからのイヤイヤ期、トイトレ、知育…最初は勝手がわからずうまくいかないことばかり。

でも、どうやったら上手くいくか日々“研究”していると段々とコツがわかってきて、子どもの成長とともに親としての自分の成長も実感できてそこに楽しみを見出していた気がします。

長男のときにずいぶん手こずったことを双子のときに最初からスムーズにできたときは、嬉しかったしあのときやっててよかったと心の底から思いました。

まぁそのときはまた別の課題が出てきて悩み(やりがい?)が尽きることはないんですが。

また、子ども達の家庭での教育や習い事、園や小学校の準備など忙しかったら手が回らさそうなこともじっくり考えて取り組めたのは自分が学生だったおかげです。

しかし、自分の卒業・就職と子ども達の入学・入園が重なるのはけっこう大変でした…。

他にも、思いもしなかったいい影響(?)があったりなかったり。


⑤ まとめ


育児しながらの医学部生活について、いろいろ振り返りながら書いてみました。

決して楽ではなかったですし我慢したこともたくさんありますが、全体として見るとそれ以上に嬉しいことや楽しいことがたくさんあって、この6年間を家族と過ごすことができてよかったというのが率直な感想です。


最後に、僕と同じように子育てをしながら医学部に通っている5年生以下の方にお伝えしたいことが1つ。

冒頭で紹介した4年生の時に書いた記事に、在学中に子育てをされていた先輩医師からこんなコメントをいただきました。

『家族がいるからこそ国試勉強も乗り切れたと思います』

当時この言葉にすごく励まされたのですが、国試を終えた今、僕自身本当にその通りだったと感じています。

辛いときもあるかもしれませんが、なんとか一歩一歩乗り越えて進んでいって欲しいです。

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