この記事によると、一般的に女性医師に見られる次のような特徴が「女医を選べ」という結論につながったと考えられるそうです。
・診療ガイドラインなどルールの遵守率が高い
・エビデンス(科学的根拠)に沿った診療を行う
・患者とより良いコミュニケーションを取る
・専門外のことを他の専門医によく相談する
各項目は男性医師も当然やるべきことのようにも思えますが、きっといろんな事情があるのでしょう…女性医師のほうが「より真面目」とも言えます。
では、この性別での真面目度の差はいつ生じるのか?持って生まれた「男らしさ」「女らしさ」と言えばそれまでですが、少なくとも大学生のうちにすでに差が見えつつあるようです。
今回は医大生の男女の真面目度を留年率・留年数の観点から検証するとともに、国公立大と私立大の比較、昔と今の比較も見ていきたいと思います。
男子と女子の真面目度比較
まずは指標の一つである留年率。平成22年に医学部に入学した人のうちストレートに(留年せずに)平成28年に卒業した人の割合は男女でかなり差があります。

男女関係なく1割~2割は留年するという事実も恐ろしいですが…
また、留年数にも男女差があるようです。平成28年の医学部卒業生のうち、留年した人の留年数の内訳を比べてみると下の図のようになります。

女子は留年する割合も少ないですが、留年した場合でもその年数が少ない傾向にあることがわかります。
留年=不真面目とは限りませんが、こうしてみるとやはり女性医師と男性医師の違いにつながるものは、医師になる以前の大学生の頃から少しずつ見え隠れしていると言えそうです。
国公立と私立の真面目度比較
続いて国公立と私立で差があるかどうかも比較してみたいと思います。
まずは留年率について。平成22年に医学部に入学した人のうちストレートに(留年せずに)平成28年に卒業した人の割合は、男女差ほどではありませんが、国公立と私立でもけっこう差があります。

私立は5人に1人が留年しているという計算になりますね。さらに私立の男子に限るとこの割合は76.5%、つまりほぼ4人に1人が留年しているということに…
つぎに、平成28年の医学部卒業生のうち、留年した人の留年数の内訳の比較です。

留年率の高い私立は、留年数も多い傾向にあることがわかります。
これらのデータを見て、
国公立の医大生のほうが私立より真面目だ!
と言えれば面白いですが(私立医の人にものすごく怒られそうですが)、実際のところはなかなかそうは言い切れません。男女の比較をしたときと違って大学によってカリキュラムがかなり異なるからです。
国公立では1年生(場合によっては2年生まで)は教養課程中心なので比較的暇(?)ですが、私立医の知り合いは1年生からかなり忙しそうで、留年の2文字に早くも怯えています。また、卒試が厳しくて6年生を3回やった私立医の知り合いもいます。
そんな話を聞くと、私立医のほうが進級・卒業が厳しいのかなとも思ったり。6年生×3回というのは不真面目要素に起因する部分が大きそうですが(笑)
ただ、国公立と私立の入試の形式の違いによる影響があってもおかしくないと個人的には思っています。
国公立の入試にはセンター試験があり、重みは小さいですが国語や社会の勉強が必須です。したがって、基本的に英数理のみで選抜される私立と比べると、国公立には自然とマルチタスクの能力が高い(=要領よくこなせる)人が集まります。医学部に入ってからの勉強はいわゆるバリバリの理系科目は少ないということを考えると、
国公立は大学受験で理系科目以外も要領よくこなしてきた人が集まっているので、私立に比べて留年率が低い!
…こんな仮説もアリではないでしょうか?もちろん入試ですべてが決まるわけはなく、カリキュラムが同じ国公立と私立はないと思うので、あくまで「検証しようのない仮説」です。
昔と今の真面目度比較
最後に昔と今を比較するために留年率の推移を見ていきたいと思います。
これまで見てきたように、医学部の卒業生のうち留年をしていない人(入学してから6年で卒業した人)の割合は大学や男女で差がありますが、平成28年度のトータルで見ると約84%です。つまり、6人に1人は留年しているということ。
この数字が毎年ほとんど変化がないものなのか、それとも時代を反映して変化しているのかを確認するため、10年ほどさかのぼってみてみました。

全大学での結果を青線、国公立を赤線、私立を緑線でプロットしています。
まず目を引くのは平成21年の私立の低さ(←約23%が留年!?)ですが、本題からそれるのでそれは置いておきます。
全体で見ると、留年なしで卒業した人の割合はこの10年で徐々に徐々に減っていることがわかります。特に、ここ4~5年は見事な単調減少で5%近く下がっています。
原因はいくつか考えられ、学生の質が下がってきているという可能性もなくはないのでしょうが、近年、医学部のカリキュラムが前倒し傾向にあることの影響も小さくないのではないかと思います。そうだとすると、留年なしで卒業する人の割合は今後も減少し続けるのかもしれません。考えただけで恐ろしい…
【注】今回用いたデータについて
・出典:学校基本調査(文部科学省)
卒業生数:各年度→卒業後の状況調査→大学→表番号73
入学者数:各年度→学校調査→大学・大学院→表番号18
・この記事で留年として扱った中には留学などで年数が増えてしまっている人も含まれるので、厳密な意味での留年はもっと少ないと考えられます。
この記事へのコメント
薬剤師を目指す薬学6年生
これは医学部に限らず、他の医療系の学部にも言える話であると思います。
といいますのも、薬学部でも留年するのは男が多いということ。
女で留年する方はかなり低率であると思います。
それに女の方が、かなり真面目に考えていることが多いのかもしれません。私のように、一匹狼気質の女性の学生、結構いますよ。
男の方でも、留年しないのは、かなり精神年齢が高い方ではないかと
思います。見てて思いますよ、留年する方って、結構部活にかまけて
勉強していないとかそんな感じの方が多いように思います。
逆に、部活をせずに頑張っている真面目な男性の方が、成績が上であったりという感じです。
学生の本業は勉強であって、部活ではないはず…と思っている方が
留年していないように思います。
しーちきん
部活をやっているとどうしても本業を忘れてそちらが優先になりがちですね…留年こそしなかったものの最初の大学に通っていた頃の自分に伝えたい言葉です(笑)