医学部受験ブログのデータを集計しているブログで、模試やセンター試験の成績と合否の関連について他にも興味深い記事が掲載されています。
よくもまぁそんなにたくさんのデータを集められたなぁと驚く一方で、医学部受験生のブログってそんなにあったのか…というのが正直な印象です(汗)
上記の記事の再受験生側のデータには、このブログで報告した2年分の受験結果も含まれているかも…なんて思ったり。貴重なデータを使わせていただいて少し考察を加えてみたいと思います。
偏差値別の医学部合格率
上記の記事で国公立医学部の再受験生と再受験以外の受験生(=現役・浪人生)について、2010~2017年の全統模試(ドッキング)の偏差値帯と合格率が紹介されています。
グラフにしてみるとこのようになります。

これを見ると多くの医学部が属する偏差値65以上では基本的に再受験生の合格率が低く、65未満では逆に高いように見えます。でもこれって統計的に意味がある差なんでしょうか?
せっかく医学部で軽く統計学に触れているので、その観点で比較してみます。
統計的にどの程度差があるのか
これを見るには母比率の差の検定を行う必要があります。方法の詳細は統計WEBなど他サイトにいくらでも載っているので譲りますが、今回の場合は合格率とサンプルサイズから求めた統計量zを評価すればいいことになります。
zの絶対値が1.96より大きければ、統計学で一般的に用いられる有意水準5%の検定で有意差があるという結論になります。
各偏差値帯での統計量zの値をグラフにしたものがこちら。

赤字になっている偏差値67.5~69.9、68.8~71.2では統計的に有意に再受験生の合格率が低いと言えます。~59.9は再受験生の合格率が高くなっていますが現役・浪人生が合格率0%なので評価が難しいところです。
この結果から考えられること
模試で同じくらいの偏差値の受験生が同程度の難易度の大学を受ければ、合格率に大きな差は出ないはずです。さらに、再受験生は様々なネガティブ要素から(それが確実なものかは別にして)安全めに大学を選ぶことが多いです。
ではなぜ再受験生のほうが合格率が低いのか?
これらの理由から
再受験差別が存在する!
と結論付けるのは気が早いかもしれません。
現役生や浪人生と比較して年度始めの段階である程度学力が固まっている再受験生は、第1回の全統模試では基本的に偏差値が高く出ます。しかし、その後の伸びが今一つだと偏差値は次第に下がり最終的に不合格となりうるわけで、このような人が第1回の模試だけしか受けていなかったとすると「偏差値の割に合格できない人」になってしまいます。
また、再受験生と言ってもいろいろなタイプがあり、それらを一括りにして差別があるかどうかを語るのは困難です。
上記の記事の集計方法がどのようになっているかわかりませんが、医学部再受験を考えている方はこのデータの意味を少し考えてみる価値はあるかもしれません。
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